アキッレ・カスティリオーニとの出会い

イタリアデザイン界の巨匠アキッレ・カスティリオーニ氏は、私が学生のころ気になるデザイナーだった。1980年代後半はイタリアポストモダンの隆盛を迎え、外観重視のデザインが多い中、カスティリオーニ兄弟のそれは何かが違ってみえた。

社会人になって、1997年NYのMoMAで開催されていたAchille Castiglioni DESIGN!展を見る機会があり、「魅力的な造形が機能からもたらされていること」が彼のデザインであることに気が付いた。そんな彼への憧れが大きくなったことが、メーカーを退社しミラノへ渡る一つの決め手となった。


私はイタリアに渡り、フリーのデザイナーとして悪戦苦闘する中、"NUGA"というデザインユニットを結成し、2000年のミラノサローネでフォーリと呼ばれるミラノの街中での展示を行うことになった。その時にアキッレ氏が我々の展示を見に来てくださった時の感動は忘れることができない。まだ駆け出しデザイナーだった私たちに優しく声をかけ、私がデザインしたAqmaraのことを気に入ったと言ってくださった。

翌年のサローネでは念願のサローネサテリテに出展、そこにもアキッレ氏がブースに立ち寄って下さった。この時に展示していたのはMoonPortasognoTremoKiki。少し慣れてきたイタリア語でデザインのコンセプトをお話しすることができて興奮したことを覚えている。


このあとアキッレ氏のプロジェクトの助手をつとめることになるとは、この時は考えてもいなかった。


※カスティリオー二兄弟とは、長男からリヴィオ、ピエール・ジャコモ、アキッレの3人兄弟でスタートしたカスティリオーニの兄弟によるデザインユニット。1950年に兄のリヴィオが独立してからは、ピエル・ジャコモとアキッレの2人で様々なデザインを行う。1968年にピエル・ジャコモが亡くなってからは、アキッレ・カスティリオーニが亡くなる2002年まで事務所を継続した。